26. 無いんだな、つくえ

目次




抗生物質ペニシリンの研究に取り組んだ研究員の物語



抗生物質ペニシリンの研究に取り組んだ研究員の物語


時間がかかる

フェノールなどの大半の化学殺菌剤は

細菌を数分で殺すのに対して、



このカビの汁(ペニシリン)は

細菌を殺すのに何時間もかかることが

分かってきた。






抗生物質ペニシリンの研究に取り組んだ研究員の物語




抗生物質ペニシリンの研究に取り組んだ研究員の物語





抗生物質ペニシリンの研究に取り組んだ研究員の物語


効果がなくなる


抗生物質ペニシリンの研究に取り組んだ研究員の物語




抗生物質ペニシリンの研究に取り組んだ研究員の物語









抗生物質ペニシリンの研究に取り組んだ研究員の物語



抗生物質ペニシリンの研究に取り組んだ研究員の物語


俺たちの研究はここからだ!


フレミングはクラドック研究員に加え、


リゾチームの研究を行っていた

リドレー研究員にも


カビの汁に関する研究を行うよう命じた。





抗生物質ペニシリンの研究に取り組んだ研究員の物語


抗生物質ペニシリンの研究に取り組んだ研究員の物語



抗生物質ペニシリンの研究に取り組んだ研究員の物語



抗生物質ペニシリンの研究に取り組んだ研究員の物語







抗生物質ペニシリンの研究に取り組んだ研究員の物語



しかし、

フレミングは二人に研究を命じたものの、


不思議なことに

ロクな支援をしなかった。



彼らが使う実験台すら

用意してやることはなかったという。




抗生物質ペニシリンの研究に取り組んだ研究員の物語




抗生物質ペニシリンの研究に取り組んだ研究員の物語



無いんだな、机


二人は廊下に机を置いて、


近くの実験室から

長いゴム管をひいて

ガスを使えるようにした。


抗生物質ペニシリンの研究に取り組んだ研究員の物語



困難な状況にもかかわらず、

リドレーとクラドックの研究は進んだ。


抗生物質ペニシリンの研究に取り組んだ研究員の物語





二人は液体培地でアオカビを培養し、

約18℃の培養温度で

10日目の状態が

最も抗菌活性が高いことを突き止めた。



抗生物質ペニシリンの研究に取り組んだ研究員の物語



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そして、そのカビの汁を

ろ過して固形物を除き、


40℃でカビの汁を減圧蒸留し、

水分を除いた。



すると、

黄色いネバネバしたカタマリが残った。



抗生物質ペニシリンの研究に取り組んだ研究員の物語



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ペニシリンの精製

この黄色いネバネバした塊は

水分を除いただけであって、


まだ仮想の「ペニシリン」のほかにも

様々な不純物を含んでいた。


抗生物質ペニシリンの研究に取り組んだ研究員の物語



そこで、二人は


もしペニシリンが

タンパク質でできた酵素だとしたら、


タンパク質を分離する手法を使えば

ペニシリンが精製できるはず


と考えた。

抗生物質ペニシリンの研究に取り組んだ研究員の物語




酒のちから

一般に

タンパク質は水に溶けるが、

アルコールには溶けない。



したがって、タンパク質を

多くの非タンパク質と分ける簡単な方法は


混合物の水溶液に

アルコールを加えることである。


抗生物質ペニシリンの研究に取り組んだ研究員の物語



ペニシリンがタンパク質なら

アルコールには溶けずに

沈殿するはずだった。


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二人はネバネバした塊に

90%アルコールを加えてみた。


すると、二人が予想したように

沈殿が生じた。


しかし・・・



抗生物質ペニシリンの研究に取り組んだ研究員の物語




沈殿のほうには抗菌活性はなく、

アルコールの上澄み液の方に

抗菌活性があったのである。


つまり、ペニシリンは

アルコールに溶けた。


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クラドックとリドレーは

ある程度まで精製したカビの汁を

フレミングに提供することができた。




この粗精製ペニシリンは

3000倍以上に薄めても抗菌活性を示した。


抗生物質ペニシリンの研究に取り組んだ研究員の物語




しかし、

数週間かけて精製したこのカビ汁も

室温では数日のうちに

抗菌活性がなくなってしまった。





抗生物質ペニシリンの研究に取り組んだ研究員の物語




弱酸性にするといい

クラドックとリドレーは

さらに研究を行い、


液体培地のpHを

弱酸性(pH=6.5)にすると、


ペニシリンの抗菌活性が

数週間持続することを突き止めた。



抗生物質ペニシリンの研究に取り組んだ研究員の物語



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