23. あしたはバカンス!
目次


卵の白身
リゾチームの研究を続けるうちに
フレミングは
卵の白身に
リゾチームが大量に含まれていることに
気付いた。

卵の白身や黄身は
微生物が増殖するのに最高の環境だが、
微生物は卵の殻を
簡単にすり抜けてしまう。

卵が様々な微生物の侵入にさらされながら
何日も無菌の状態を保っていられるのは、
リゾチームが
豊富に含まれているおかげである。

卵白のリゾチーム
卵白のリゾチームは
涙のリゾチームの
200倍の濃度があるということが分かった。

研究の結果、
涙に含まれるリゾチームの2倍の濃度なら、
病原性のあるブドウ球菌や
レンサ球菌なども
殺せることが分かった。

そして、フレミングは
ウサギに卵白の溶液を静脈注射して、
副作用があるか確認してみた。


フレミングは
研究結果をとりまとめ、
報告した。

ただし、血中リゾチーム濃度を
高いまま保つには、
何回も
卵白溶液を静脈注射する必要があった。

その場合、どうしても
アレルギーの問題が発生してしまう。


アレルギーの危険を伴わずに
続けて何回も静脈注射を行うには、
卵白からリゾチームだけを
精製することが不可欠だった。


細菌学を専門としていて
化学の知識がなかったフレミングには、
リゾチームを
純粋に精製することはできなかった。

また、アリソン研究員も
リゾチームの研究結果を
学位論文にまとめて、
フレミングの元から巣立っていった。


別の仕事
やがてフレミングは
別の仕事に取りかかり始めた。
それは専門書を書くことである。


当時、フレミングは
「細菌学大系」という分厚い専門書の
ブドウ球菌に関する記事を書くことを
頼まれていた。

論文をいくつも読むうちに、
フレミングは
ブドウ球菌のコロニー(細菌集落)の
色の変化を扱った
一つの論文を見つけた。

この色の変化は
ブドウ球菌が変異したことを示しており、
フレミングは
その変異株の病原性に注目した。

シャーレを真上から見た写真
黄色いのが細菌のコロニー(集落)

ブドウ球菌の変異株
フレミングは
研究生のプライスに手伝ってもらい、
自分でもブドウ球菌の変異株について
研究することにした。




実験の流れ
鼻の中にもブドウ球菌がいる。
まずはそれを培養する。

それから
恒温器から培地を出して培養を打ち切り、
室温で
ブドウ球菌のコロニーの色が
どのように変化するか
2~3日おきに観察した。


1928年2月、プライス研究員は
司法解剖を学ぶため、
フレミングの元を去った。


プライス研究員がいなくなった後も
フレミングは実験を続け、
やがて季節は夏になった。

この頃、プライス研究員の後任として、
クラドック研究員が
フレミングの元に来ていた。

7月の終わり、
結婚して子供もいたフレミングは、
夏休みを家族と一緒に
別荘で過ごす予定を立てていた。



フレミングは
ブドウ球菌の培地を何枚かつくり、
恒温器に入れようとした。







ブドウ球菌のシャーレ
フレミングは
恒温器に入りきらなかった
ブドウ球菌のシャーレを、
そのまま実験台の上に放置した。

この時、
その放置されたシャーレの一つに
どこからか
カビの胞子が混入した。


フレミングは休暇に行く前に
たくさんの寒天平板培地を
実験台に積み上げておいた。

そこは日光が当たらず、
クラドック研究員にも
触れられることのない場所だったという。

